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長野地方裁判所 平成6年(ワ)312号 判決

長野市大字広瀬三三七〇番地

原告

キャピーインターナショナル株式会社

右代表者代表取締役

櫻井一敏

右訴訟代理人弁護士

竹内喜宜

右輔佐人弁理士

綿貫隆夫

堀米和春

東京都中野区江原町二丁目六番二号

被告

社会福祉法人東京コロニー

右代表者理事

調一興

右訴訟代理人弁護士

山根伸右

手塚一男

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一  請求

一  被告は、別紙物件目録(三)記載の非常時救出用人運搬具(以下「被告商品」という。)を製造・販売し、非常時救出用人運搬具について「エアーストレッチャー」の商標を付し若しくはこれを付した非常時救出用人運搬具を販売し、又は、非常時救出用人運搬具の販売のために「エアーストレッチャー」の商標を使用して広告・宣伝してはならない。

二  被告は、原告に対し、金一億七一八二万五〇〇〇円及びこれに対する平成六年一一月二九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二  事案の概要

本件は、空気の吸入・排出によって膨張・収縮するスポンジ状のマットを用いた非常時救出用人運搬具を「ホールドストレッチャー」又は「エアーストレッチャー」の商標を用いて販売する原告が、右運搬具の形態と商標は原告の商品表示として周知性を有しており、これと類似の形態を有する被告商品を製造・販売し又は非常時救出用人運搬具の宣伝・販売に関して「エアーストレッチャー」の商標を使用する行為は、原告の商品と混同を生じさせ、不正競争防止法二条一項一号所定の不正競争に該当し、原告はこれによって営業上の利益を侵害され、また侵害されるおそれがあると主張して、同法三条一項に基づき右各不正競争行為の差止めを求めるとともに、同法四条及び五条に基づき損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。

一  判断の前提となる事実

1  原告は、防災具の製作、販売及び輸出入等を目的とする株式会社であり、別紙物件目録(一)及び(二)各記載の非常時救出用人運搬具(以下、同目録(一)記載の商品を「原告第一商品」、同目録(二)記載の商品を「原告第二商品」といい、両者を合わせて「原告商品」ということがある。)を販売している。(甲第二一ないし第二八号証、第四三号証、証人櫻井一敏、弁論の全趣旨)

2  彼告は、授産施設コロニー授産所の設置経営、身体障害者授産施設東京都葛飾福祉工場(以下「葛飾福祉工場」という。)の受託経営等の事業を目的とする社会福祉法人であり、右の葛飾福祉工場において被告商品を製造した上、これを需要者に販売している。(当事者間に争いなし)

二  争点

1  原告商品の形態の商品表示性

(一) 原告の主張

原告商品は、第一商品と第二商品とで運搬マットの長さに違いがあるほかは、いずれも非使用時には内部空気が排出され巻いて収納可能であるとともに、使用時には外気を吸入して所要の厚さ及び弾力を備えるに至るマット部材を有し、このマット部材が引っ張りベルト、身体押さえバンド及び把持用のリングベルトが設けられている袋カバーで覆われているという基本的形態の点では共通している。

しかして、原告商品は、複数人による運搬のみでなく、一人の運搬者でも取り扱えること、被運搬者を載せて床の上を引きずって運搬できること、階段を引きずり降ろせること、屋外で舗道等の上でも引きずって運搬できること、雪道でも運搬が可能であること、狭い通路での運搬も可能なこと等の機能を有するが、これらは、前記のような弾力を有する所要の厚さのマット部材が引っ張りベルトを有する袋カバーで覆われているために可能なのであって、このような機能から印象づけられる右基本的形態が強烈な印象となって原告商品を使用する者に訴えるのであり、これが他の商品と明確に区別される特徴となっている。

このように、原告商品はその基本的形態において他の商品と区別される独自性を有し、取引者・需要者に鮮明な印象を与え、これらの者をして右形態を有する商品は原告の商品であると認識させるに至っているから、原告商品の形態は商品表示性を有するものということができる。

(二) 被告の主張

原告が主張する基本的形態は、既に昭和六〇年に株式会社友恵の製品「カンガルー」として考案され、被告がこれを仕入れて販売しており、周知のものであり、原告商品にのみ特徴的なものではない。

2  原告第二商品の商標の商品表示性

(一) 原告の主張

原告商品のような担架については、「非常時用応急担架」「緊急救助用担架」などの名称が使用されるのが通例であって、「エアーストレッチャー」という特殊な標章が使用されることはないのであり、これは特定人に登録しても何ら支障のない独占適応性を有する商標であるということができる。

(二) 被告の主張

「エアーストレッチャー」なる商標は、空気を吸入して膨らむマット部材を表す「エアーマット」と、担架を意味する「ストレッチャー」とをそのまま連ねたものにすぎず、何ら特殊な名称ではない。

3  原告商品の形態及び商標の周知性

(一) 原告の主張

原告は、原告商品が一般的な流通過程に乗りにくいことから、販売促進戦略として・各種展示会に出品したり、各種イベントに商品をレンタル又は無償提供したり、セミナー誌その他への広告の掲載、商品のパンフレットの配布を行ったりするとともに、積極的に病院等に赴き、その都度ビデオテープ等を用いて商品の説明を行って、原告商品の宣伝に努めてきた。また、原告は、財団法人電気通信共済会(以下「テルウェル」という。)信越支部との間で総代理店契約を結び、テルウェルの全国の支部と営業所においても、原告と同様、パンフレットの配布、病院等でのビデオテープ等を用いた積極的な商品説明、防災訓練等を通じて、商品のイメージの浸透及び商品の普及活動が行われている。更に、テルウェルの特約店でありリネン業界では最大手のワタキューセイモア株式会社等を通じて、その全国的な販売網により原告商品の宣伝活動が強力になされ、商品のイメージの浸透、商品の普及がなされている。

右のような原告自身並びに総代理店及びその特約店の宣伝活動を通じて、原告商品の形態及び「エアーストレッチャー」の商標は、原告の販売する商品を表示するものとして、取引者や需要者、特に病院関係者間に周知されるに至っている。

(二) 被告の主張

原告商品の形態及び商標は、原告の考案に係るものではなく、また、その宣伝活動により原告の商品表示としての周知性を有するに至ったものではない。

4  原告商品と被告商品との形態及び商標の類似性並びに混同のおそれ

(一) 原告の主張

原告商品と被告商品とは、原告商品の引っ張りベルトが挿通チューブ内を通ってそれぞれの外部で連結するループ状に設けられているのに対し、被告商品の引っ張りベルトは運搬マットの前端部に両側部を連結するようにU字状に設けられていること、また、被告商品にはポケットが設けられているが、原告商品になポケットが存在しないことなど細部の点では相違しているが、前記のような非常時救出用人運搬具としての基本的形態を有することでは一致しているのであって、これら商品に接する需要者をして外観上彼此混同させるおそれのある類似形態ということができる。

また、被告が非常時救出用人運搬具に原告第二商品と同一の「エアーストレッチャー」という商標を付して製造・販売する行為は、原告第二商品との混同を生じさせることになる。なお、被告は、原告は原告第二商品に「キャピーエアーストレッチャー」の名称を付して販売し、被告、商品と区別していると主張するが、「キャピー」の商標はそれ自体で既に登録されているのであり、「エアーストレッチャー」と一体でのみ使用されるものではない。また、原告は、「キャピー〈R〉 エアーストレッチャー」と表示して前後が区切れるように使用しているのであり、「エアーストレッチャー」の部分もそれ自体で商標としての機能を有している。このことは、取引者・需要者が原告第二商品を指し示す場合、「キャピー」の部分を省略して単に「エアーストレッチャー」という商品名で呼んでいることからも明らかである。

(二) 被告の主張

被告商品と原告商品とは、非常用担架としての目的は同じであっても、その使用態様に重大な相違がある。すなわち、被告商品は、いわば動物のカンガルーの袋のように足を袋に入れて用いるものであり、一方の方向からしか利用できないものであって、ベルトによって体を止め、いずれの方向からでも使用できる原告商品とはその利用方法及び形態が異なっている。

また、原告は、原告第二商品に「キャピーエアーストレッチャー」の商標を付して販売し、自ら被告商品と区別している。

5  原告の被った損害の額

(一) 原告の主張

被告商品一台当たりの販売価格は三万九五〇〇円であり、被告は一か月当たり一〇〇〇台を販売し、その利益率は一五パーセントであるから、平成四年六月から平成六年一〇月までの二九か月の間に被告が得た利益は、次の算式に示すとおり一億七一八二万五〇〇〇円であり、これが原告の損害額である。

三万九五〇〇円×一〇〇〇台×二九か月×〇・一五

=一億七一八二万五〇〇〇円

(二) 被告の主張

被告商品の販売数量及び販売価格を否認し、損害額を争う。

第三  争点に対する判断

一  前判示第二の一の事実のほか、証拠(甲第二ないし第四号証、第六号証、第一三ないし第三七号証、第四〇ないし第四七号証、第五〇、第五一号証、第五三号証、第五五、第五六号証、乙第一、第二号証、第五ないし第九号証、証人寺内丈行、同櫻井一敏及び同佐藤義則の各証言)及び弁論の全趣旨によれば、次の各事実が認められ、この認定を左右するに足りる証拠はない。

1  原告第一商品は、平成元年三月ころより製造・販売が企画された商品であり、当初、原告の依頼により、テラインターナショナル株式会社(以下「テラインターナショナル社」という。)が輸入・販売していた米国製のマットに同社が袋カバー等を取り付けて完成させ、これを原告に納品していたものであり、同社は、平成元年六月一六日から平成四年六月三〇日までの間に、試作品を含め合計三四〇台余りを製造してこれを原告に納入した。その後、同社と原告との間に取引はなく、原告は米国法人キャピーサクライ・ユーエスエー・インク(原告の現在の代表取締役である櫻井一敏が代表者を務める米国法人。以下「キャピーサクライ社」という。)から原告第一商品を輸入して販売している。

2  原告第二商品は、大人が足を伸ばして寝られるように、原告第一商品よりもマットの丈を長くしたものであるが、原告は、東京医科大学病院から特注品として従前の商品よりも長大な担架の注文を受けたことから、「エアーストレッチャー」の品名で、平成三年一二月一八日被告を通じて同病院に二一台を納品し、その後は、テラインターナショナル社との取引を止めたころから、原告第一商品と同様にキャピーサクライ社から輸入して販売している。

3  被告商品は、平成四年四月ころから販売されている商品であるが、被告がマット部材をテラインターナショナル社から購入し、葛飾福祉工場でこれに袋カバー等を取り付けて製作しているものである。

4  原告商品及び被告商品は、いずれも非使用時には内部空気が排出され巻いて収納可能であるとともに、使用時には外気を吸入して所要の厚さ及び弾力を備えるに至るマット部材を有し、かつ、これを覆う袋カバーに引っ張りベルト、身体押さえバンド及び把持用のリングベルトが設けられているという形態を呈している。

5  原告商品についての宣伝・販売活動は、当初においては、防災展、博覧会、病院関係の防災セミナー等の各種イベントや個々の病院に商品を持参・提供して説明を行うなど、市場調査を兼ねたものであったが、原告が平成六年七月一日にテルウェル信越支部との間で総代理店契約を結んだ後は、テルウェルの各支部、営業所及びその特約店であるワタキューセイモア株式会社等を介して、全国規模の宣伝・販売活動が行われている。他方、被告商品についても、被告との直接の取引がある約一〇〇社の販売店等を通じて、宣伝・販売が行われている。

二  以上の事実をもとに、原告商品の形態が不正競争防止法二条一項一号所定の商品表示に該当するか否かについて検討する。

商品の形態は、商品の機能の向上又は効率的な生産という技術的な要請や需要者の嗜好を考慮した美感等の観点から適宜選択されるものであり、それ自体は商品の出所を表示することを目的とするものではないが、ある商品が他の同種商品の中にあって特異な形態を有するため、あるいは永年にわたる排他的な使用又は広範な宣伝の結果、その商品の形態が出所表示機能を備えるに至ったと認められる場合には、その形態自体が特定人の商品たることを示す表示に該当すると解することができる。

これを本件についてみると、原告商品の形態は、前判示一4のとおりであるが、このような形態は、災害等の非常時に人を一人又は複数人で運搬するための運搬具に右のような特殊なマット部材を用いることにより、収納時においてはかさばらず、かつ、使用時においては被運搬者に与える衝撃を緩和させる機能を付加するという考想を実現するために用いられている形態であるということができる。ところで、非常時救出用人運搬具について右のような考想を実現しようとする場合には、原告商品のような形態が唯一無二のものではないにしても、形態の選択の幅はそれほど広いものではなく、その結果考案された商品は、多かれ少なかれ原告商品と類似した商品形態にならざるを得ないと解される。そうすると、被告商品を含め、現実にはまだ存在しないが様々に想定されるこの種商品の中にあって、特に原告商品だけが出所表示機能を備える程の顕著な形態を有していると認めることは相当でないといわなければならない。もし、これを認めると、非常時救出用人運搬具に右のような特殊マットを使用するという考想自体が独占的な利益として保護される結果となり、商品間の競争が行われることを前提にその誤認混同行為のみを禁じる不正競争防止法二条一項一号の趣旨を逸脱することになるからである。

そこで、右のような原告商品の形態については、原告の排他的使用又は広範な宣伝によって商品表示性を獲得するに至ったか否かを問題としなければならないが、原告が右特殊マット部材を使用した非常時救出用人運搬具を排他的に販売していたのは、同種商品である被告商品が製造・販売されるに至るまでの三年ほどの期間にすぎず、また、その間の原告商品に関する宣伝活動は、その具体的な方法やテラインターナショナル社からの仕入台数に照らし、比較的小規模のものにとどまっており、更に、被告商品の製造・販売が開始された後においては原告商品と被告商品との販売・宣伝活動が競合して行われているから、このような事実関係のもとにあっては、原告商品の形態が出所表示機能を備えるに至ったものと認めることはできない。

三  次に、原告第二商品の商標である「エアーストレッチャー」が周知性を有するか否かについて検討すると、原告は、被告を介して東京医科大学病院に二一台を販売した実績があるものの、原告第二商品の販売を本格的に開始したのはテラインターナショナル社との取引を止めてキャピーサクライ社からの輸入取引に移行したころからであり、そのころには既に被告商品が「エアーストレッチャー」との商標で販売され、以後両者の販売・宣伝活動が競合して行われたのであるから、右商標が原告商品のみを表示するものとして周知性を有しているものとは到底認められない。

四  以上のとおり、原告商品の形態には商品表示性が認められず、また、原告第二商品の商標には周知性が認められないから、原告の本訴請求はその余の点について判断するまでもなくいずれも理由がないので、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 齋藤隆 裁判官 古田孝夫 裁判官杉山愼治は差支えのため署名捺印することができない。 裁判長裁判官 齋藤隆)

物件目録(一)

別紙写真(1)ないし(3)及び説明図(1)のとおりの形態を有し「ホールドストレッチャー」という商標で販売されている非常時救出用人運搬具

(形態の説明)

写真(1)は正面から撮影したもの、同(2)は背面から撮影したもの、同(3)は斜め上方から撮影したものである。

右各写真及び説明図(1)が示すように、空気を吸って膨張するスポンジ状の長方形マット部材10がシート材の袋カバー12で覆われた運搬マットを有し、袋カバー12の幅方向の両端側は長手方向に沿った挿通チューブ14に形成され、これらの挿通チューブ14内を通ってそれぞれの外部で連結するループ状の引っ張りベルト16が設けられ、引っ張りベルト16のそれぞれの露出部に肩当て用パッド18が設けられ、運搬マットの短辺と平行に運搬マットの上面にわたって一定間隔を保って身体押さえバンド20が設けられ、運搬マットの四隅にはそれぞれ把持用のリングベルト22が設けられている。なお、必要あるときは挿通チューブに担架棒を挿通して用いることができるようになっている。

運搬マットは巻いて収納袋に収納されており、取り出して吸入口に設けられたバルブを緩めることによってマット部材が膨張し、かつ吸入口から外気が導入され、バルブを締めることによって所要厚さの弾力を有するマットとなる。運搬マットの長さは、大人が膝を立てて寝られる程度の大きさである。

写真(1)

〈省略〉

写真(2)

〈省略〉

写真(3)

〈省略〉

説明図(1)

〈省略〉

物件目録(二)

別紙写真(4)ないし(7)及び説明図(2)のとおりの形態を有し「エアーストレッチャー」という商標で販売されている非常時救出用人運搬具

(形態の説明)

写真(4)は正面から撮影したもの、同(5)は背面から撮影したもの、同(6)は斜め上方から撮影したもの、同(7)は担架棒を用いた場合のものである。

右各写真及び説明図(2)が示すように、空気を吸って膨張するスポンジ状の長方形マット部材10がシート材の袋カバー12で覆われた運搬マットを有し、袋カバー12の幅方向の両端側は長手方向に沿った挿通チューブ14に形成され、これらの挿通チューブ14内を通ってそれそれの外部で連結するループ状の引っ張りベルト16が設けられ、引っ張りベルト16のそれぞれの露出部に肩当て用パッド18が設けられ、運搬マットの短辺と平行に運搬マットの上面にわたって一定間隔を保って身体押さえバンド20が設けられ、運搬マットの四隅にはそれぞれ把持用のリングベルト22が設けられている。なお、必要あるときは挿通チューブに担架棒を挿通して用いることができるようになっている。

運搬マットは巻いて収納袋に収納されており、取り出して吸入口に設けられたバルブを緩めることによってマット部材が膨張し、かつ吸入口から外気が導入され、バルブを締めることによって所要厚さの弾力を有するマットとなる。運搬マットの長さは、大人が足を伸ばして寝られる程度の大きさである。

写真(4)

〈省略〉

写真(5)

〈省略〉

写真(6)

〈省略〉

写真(7)

〈省略〉

説明図(2)

〈省略〉

物件目録(三)

別紙写真(8)ないし(11)及び説明図(3)のとおりの形態を有し「エアーストレッチャー」という商標で販売されている非常時救出用人運搬具

(形態の説明)

写真(8)は正面から撮影したもの、同(9)は背面から撮影したもの、同(10)は斜め上方から撮影したもの、同(11)は担架棒を用いた場合のものである。

右各写真及び説明図(3)が示すように、空気を吸って膨張するスポンジ状の長方形マット部材10がシート材の袋カバー12で覆われた運搬マットを有し、袋カバー12の幅方向の両端側は長手方向に沿った挿通チューブ14に形成され、必要あるときはこれらの挿通チューブ14内へそれぞれ挿通できる担架棒が添えられており、運搬マットの短辺と平行に運搬マットの上面にわたって一定間隔を保って身体押さえバンド20が設けられ、また被運搬者の足の位置には足押さえ用のポケット24が設けられ、運搬マットの四隅及び中央部にはそれぞれ把持用のリングベルト22が設けられ、運搬マットの前端部には両側部を連結するようにU字状の引っ張りベルト16が設けられている。

運搬マットは巻いて収納袋に収納されており、取り出して吸入口に設けられたバルブを緩めることによってマット部材が膨張し、かつ吸入口から外気が導入され、バルブを締めることによって所要厚さの弾力を有するマットとなる。運搬マットの長さは、大人が足を伸ばして寝られる程度の大きさである。

写真(8)

〈省略〉

写真(9)

〈省略〉

説明図(3)

〈省略〉

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